2019年12月15日にリリースされた楽曲「夜に駆ける」が大ヒットし、その後も立て続けにヒット作を連発しているYOASOBI。
2023年4月12日にリリースされた「アイドル」は、Billboard JAPANチャートにおけるストリーミングの累計再生回数が史上最速で1億回を突破しました。
「アイドル」はボーカルのikuraさんが語尾をしゃくりあげる独特なラップパートの歌いまわしがとても印象的で、多くの歌い手さんがikuraさんの歌い方を真似て歌ってみた動画をアップしたり、プロのシンガーが歌ったりしています。
また、ikuraさん特有のミックスボイスやエッジボイスも多用されていて、歌の勉強をしている人にとってはとても参考になります。
ということで今回は、YOASOBIの「アイドル」ikuraさんの歌い方、ミックスボイスやエッジボイスの使い方も解説していきたいと思います。
Contents
「アイドル」歌い方、YOASOBIのikuraさんのミックスボイスとエッジボイスも分析!
まずは「アイドル」の原曲を聴いてみましょう。
冒頭から畳み掛けるような目まぐるしい展開がスピーディーでかっこいいですね。
また、アイドルの歌によくある掛け声やテンポチェンジなども入っていて、これまでのYOASOBIの楽曲には無い新たな魅力もあります。
歌詞
発声の違いによって歌詞を下記のように色分けしました。
- 色無し→地声
- ピンク→ミックスボイス
- 緑→裏声
- 黄色→エッジボイス
- 水色→ウィスパーボイス
今回はikuraさんの発声を分析するにあたって、オリジナルの音源だけでなく2023年4月24日に配信されたYOASOBIのTikTokライブでのikuraさんの歌唱も参考にしました。
ミックスボイスの部分は人によって(声帯の大きさや厚みによって)地声とミックスボイスのどちらで歌った方が良いか、また、切り替えのポイントも変わってきますので、歌いやすい方で練習してみてください。
地声からミックスボイスに上手く切り替えるコツは、ikuraさんのように切り替える直前の地声を力まないことです。
『アイドル』歌詞(作詞・作曲:Ayase)
無敵の笑顔で荒らすメディア
知りたいその秘密ミステリアス
抜けてるとこさえ彼女のエリア
完璧で嘘つきな君は
天才的なアイドル様今日何食べた?
好きな本は?
遊びに行くならどこに行くの?
何も食べてない
それは内緒
何を聞かれても
のらりくらりそう淡々と
だけど燦々と
見えそうで見えない秘密は蜜の味
あれもないないない
これもないないない
好きなタイプは?
相手は?
さあ答えて「誰かを好きになることなんて私分からなくてさ」
嘘か本当か知り得ない
そんな言葉にまた一人堕ちる
また好きにさせる誰もが目を奪われていく
君は完璧で究極のアイドル
金輪際現れない
一番星の生まれ変わり
Ahその笑顔で愛してるで
誰も彼も虜にしていく
その瞳がその言葉が
嘘でもそれは完全なアイはいはいあの子は特別です
我々はハナからおまけです
お星様の引き立て役Bです
全てがあの子のお陰なわけない
洒落臭い
妬み嫉妬なんてないわけがない
これはネタじゃない
からこそ許せない
完璧じゃない君じゃ許せない
自分を許せない
誰よりも強い君以外は認めない誰もが信じ崇めてる
まさに最強で無敵のアイドル
弱点なんて見当たらない
一番星を宿している
弱いとこなんて見せちゃダメダメ
知りたくないとこは見せずに
唯一無二じゃなくちゃイヤイヤ
それこそ本物のアイ得意の笑顔で沸かすメディア
隠しきるこの秘密だけは
愛してるって嘘で積むキャリア
これこそ私なりの愛だ
流れる汗も綺麗なアクア
ルビーを隠したこの瞼
歌い踊り舞う私はマリア
そう嘘はとびきりの愛だ誰かに愛されたことも
誰かのこと愛したこともない
そんな私の嘘がいつか本当になること
信じてるいつかきっと全部手に入れる
私はそう欲張りなアイドル
等身大でみんなのこと
ちゃんと愛したいから
今日も嘘をつくの
この言葉がいつか本当になる日を願って
それでもまだ
君と君にだけは言えずにいたけど
Ahやっと言えた
これは絶対嘘じゃない
愛してる引用元:https://j-lyric.net/artist/a061652/l05c79f.html
サビでは裏声とミックスボイスをかなり使っています。
また、エッジボイスを多用しているのも特徴的ですね。
それでは、ikuraさんのボーカルテクニックを細かく解説していきます。
「アイドル」1番の歌い方
ラップパート
無敵の笑顔で荒らすメディア
知りたいその秘密ミステリアス
抜けてるとこさえ彼女のエリア
完璧で嘘つきな君は
天才的なアイドル様
冒頭はラップパートです。
語尾をしゃくり上げていますが、ここがこの楽曲の大きなポイントです。
地声からミックスボイスへのしゃくり上げですが、ikuraさんのしゃくり上げは声帯をしっかり閉じてエッジボイスの要素も含んでいます。
ミックスボイス以外の部分でもエッジボイスを使っていて、ikuraさんの中でも特に固めの声質でこのパートを歌っています。
Aメロ
今日何食べた?
好きな本は?
遊びに行くならどこに行くの?
何も食べてない
それは内緒
何を聞かれても
のらりくらりそう淡々と
だけど燦々と
見えそうで見えない秘密は蜜の味
あれもないないない
これもないないない
好きなタイプは?
相手は?
さあ答えて
Aメロの前半は、息の成分が少ない地声で歌っています。
軟口蓋を上げて鼻腔を閉じた発声(喉はあくびの時の状態)で、テンポをしっかり刻むように軽やかに歌いましょう。
「そう淡々と〜」からの後半は、音域が低くなり、息の成分も多くなります。
低音を胸に響かせるように歌うと雰囲気が出ます。
Bメロ
「誰かを好きになることなんて私分からなくてさ」
嘘か本当か知り得ない
そんな言葉にまた一人堕ちる
また好きにさせる
Bメロで、ikuraさんらしい透き通ったミックスボイスが出てきます。
ミックスボイスへナチュラルにつながるように、地声は絶対に力まないようにしましょう。
地声を柔らかく発声して、ミックスボイスで声帯をしっかり閉じると歌いやすいと思います。
サビ
誰もが目を奪われていく
君は完璧で究極のアイドル
金輪際現れない
一番星の生まれ変わり
Ahその笑顔で愛してるで
誰も彼も虜にしていく
その瞳がその言葉が
嘘でもそれは完全なアイ
サビは裏声とミックスボイスを多用していますので、切り替えが大変です。
裏声と表記している前半部分は、音源ではミックスボイス寄りの強めの裏声ですが、TikTokライブでは完全に裏声でした。
後半の高音部分はikuraさんらしい軽やかなミックスボイスで歌っています。
地声は絶対に力まず張らず、むしろミックスボイスの部分よりも優しく歌うように意識すると良いでしょう。
「アイドル」2番から最後の歌い方
ラップパート
はいはいあの子は特別です
我々はハナからおまけです
お星様の引き立て役Bです
全てがあの子のお陰なわけない
洒落臭い
妬み嫉妬なんてないわけがない
これはネタじゃない
からこそ許せない
完璧じゃない君じゃ許せない
自分を許せない
誰よりも強い君以外は認めない
冒頭のラップパートがテンション高めで語尾をしゃくり上げているのに対し、このラップパートでは少しテンションと音程を下げています。
語尾のしゃくり上げをしているのは3行目のみで、後半になるにつれてテンションと音程を上げていってます。
また、このラップパートでは声に歪み系のエフェクトがかかっています。
サビ
誰もが信じ崇めてる
まさに最強で無敵のアイドル
弱点なんて見当たらない
一番星を宿している
弱いとこなんて見せちゃダメダメ
知りたくないとこは見せずに
唯一無二じゃなくちゃイヤイヤ
それこそ本物のアイ
1番のサビと同じように、2番のサビも裏声とミックスボイスを多用しています。
後半はメロディが変わっていて、「ダメダメ」や「イヤイヤ」など、D5とE5の音を行ったり来たりするフレーズが出てきます。
ここは息漏れをして弱々しくならないよう、声帯をしっかり閉じて発声しましょう。
声帯をしっかり閉じるには、下記のエッジボイスの練習方法を記載した記事を参考にしてみてください。
ラップパート
得意の笑顔で沸かすメディア
隠しきるこの秘密だけは
愛してるって嘘で積むキャリア
これこそ私なりの愛だ
流れる汗も綺麗なアクア
ルビーを隠したこの瞼
歌い踊り舞う私はマリア
そう嘘はとびきりの愛だ
「アイドル」のテンポはBPMが166なのですが、このパートだけはBPM150になっています。
冒頭のラップパートと同じように語尾をしゃくり上げて歌っていますが、BPMが下がっているのに合わせて少しねっとりとした歌い方になっています。
また、ここではエッジボイスも多用していてさらに独特な雰囲気を出しています。
Bメロ
誰かに愛されたことも
誰かのこと愛したこともない
そんな私の嘘がいつか本当になること
信じてる
Bメロは1番のBメロと同じように綺麗なミックスボイスが出てきます。
また、3行目の「そんな〜」から転調が入ります。Ayaseさんの作る曲には転調がよくありますが、低くなる転調はAyaseさんがよく使う手法であり、Ayaseさんらしさを感じますね。
カラオケなどで歌う際は、転調したときにキーがズレないようにしっかりオケを聴きましょう。
サビ
いつかきっと全部手に入れる
私はそう欲張りなアイドル
等身大でみんなのこと
ちゃんと愛したいから
今日も嘘をつくの
この言葉がいつか本当になる日を願って
それでもまだ
君と君にだけは言えずにいたけど
Ahやっと言えた
これは絶対嘘じゃない
愛してる
サビは裏声とミックスボイスを多用していますが、1番よりも長くなるので、喉に負担を大きくかけて歌っているとキツくなる部分です。
特にミックスボイスを力んで発声しているとハイラリンクス(咽頭が上がって声が裏返りやすくなる)になってしまいます。
ikuraさんはわりと高い音(B4あたり)まで張らない地声で歌って、それ以上をミックスボイスや裏声にしっかり切り替えるよう意識して歌っています。
それもikuraさんの歌い方の特徴ですね。
まとめ:「アイドル」歌い方、YOASOBIのikuraさんのミックスボイスとエッジボイスも分析!
YOASOBIのikuraさんの歌い方、このサイトでは何度か解説していますが、ikuraさんは表現力が豊かであり、唯一無二の歌声を持っているシンガーだということを改めて感じました。
また、裏声を使ったミックスボイスがとても綺麗で、ミックスボイスを練習している人にはとても参考になります。
ikuraさんのようなミックスボイスや歌い方を参考にしたい方は、ライブ映像なども観てミックスボイス発声時の表情筋の使い方や、ミックスボイスの音色などをじっくり研究してみてください。
ikuraさんの歌い方は他にもありますので、良かったら是非ご覧ください!
歌唱テクニックについては下記の記事を合わせて読んでみてください。
・【ボイトレ基礎】簡単に習得できる腹式呼吸の練習方法、初級編
・【ボイトレ基礎:ミドルボイス・ミックスボイス】高音に繋げる中域発声の練習方法
余談
「アイドル」はアニメ「推しの子」のオープニングテーマ曲ですが、「推しの子」もとっても面白いですよね!私は原作未読ですが、友人より「今季イチオシのアニメだから絶対に観て!!」と進められて観ました。
第一話がなんと約1時間もあり、原作の単行本第1刊の内容がまるまる第一話に集約されています。一気に引き込まれる内容でした。
そして「アイドル」という楽曲は、「推しの子」の原作者である赤坂アカ先生が書き下ろした「推しの子」のスピンオフ小説『45510』を元に制作されているのですが、この『45510』は「アイドル」制作のために書き下ろされた小説です。
『45510』についてはネタバレになりますので詳しくはお話ししませんが、下記の特設サイトで読めますので、気になる方は是非読んでみてください!
『45510』特設サイトURL:
https://youngjump.jp/oshinoko/novel_45510/novel_01.html