おそらく2000年ごろからインターネットが普及し、”ミックスボイス”という言葉が広く知られていったと思いますが、僕がトレーニングを受けていたボイストレーナーの先生の1人は、この言葉を1990年代から使っていたようです。
主に高い声を出す歌唱法としてミックスボイスという言葉が使われてきましたが、最近では”ミドルボイス”と呼ばれたり”ベルティングボイス”と呼ばれたり、色々な呼び方があり、人によって定義も変わってきます。
実際、僕が教わった2人のボイストレーナーでもミドルボイスやミックスボイスについての定義がそれぞれ違ってました。
僕は2人のボイストレーナーのそれぞれのミックスボイスの定義を元に、自分が理想とするシンガーの声をとことん研究し、ミドルボイスに辿り着く事が出来ました。
現在も日々研究中ですが、僕が尊敬するボイストレーナーはみなさん常に研究しておられます。
それでは、今回はミドルボイスとミックスボイスの違いについて説明していきます。
Contents
ミドルボイスとミックスボイスの違いは出し方?感覚?
ミックスボイスは、
裏声を地声のように太く強く発声する方法の事
と解釈するのが一般的です。
そしてミドルボイスとは、
チェストボイスとヘッドボイスの間の声
ということになります。
地声か裏声かではなく、
響きの中心ポイントがチェスト(胸)でもヘッド(頭)でもない声、要するに
・口腔共鳴や鼻腔共鳴を中心とした声域の声
と解釈できます。
ミックスボイス・・・発声方法
ミドルボイス・・・発声区域
それではここから、ミドルボイスを含めた3種類の発声区域について解説していきます。
3種類の声
3種類の声とは?
・チェストボイス(響かせるポイントの中心が胸であり、低音域)
・ミドルボイス(響かせるポイントの中心が口や鼻であり、中音域)
・ヘッドボイス(響かせるポイントの中心が頭であり、高音域)
基本は、この通りに覚えていただければ間違いないと思いますが、
これも人によって解釈が様々で、
チェストボイス=地声
ミドルボイス=ミックスボイス
と解釈する方も沢山いらっしゃいます。
どちらが正解なのかは、正直わかりません。。
さて、ミドルボイスについては大体おわかりいただけたと思いますが、
このミドルボイスの区域には
裏声を地声のように強くした発声方法
「ミックスボイス」と
通常の地声では出せないような高音域の声を地声のまま発声してしまう発声方法
「ベルティングボイス」と呼ばれる声があります。
次は、ベルティングボイスについても少しだけ触れていきましょう。
ミックスボイスとベルティングボイスについて
ミックスボイスとベルティングボイスについてですが、
ミックスボイスは裏声での発声テクニックであるのに対し、ベルティングボイスは地声での発声テクニックです。
発声時の喉の感覚も、下記のように違います。
- ミックスボイス発声時の喉の感覚は、裏声と同じです。
- ベルティングボイス発声時の喉の感覚は、声帯がピーンと張っている感じです。裏声とは違う感覚です。
どちらも、喉の疲労感は通常の地声で張り上げている時よりも遥かに少ないです。
ただ、ゼロではありません。
特にベルティングボイスは、ミックスボイスに比べて負担がかかりますので、自分がどのぐらいベルティングボイスを使えるのかを、しっかりと把握していく必要があります。
ベルティングボイスについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、是非読んでみてください。
声質によるミックスのしやすさ
実は一人一人の声質(声帯の大きさ)によって、地声とミックスボイスの切り替えのしやすさに差が出ます。
極端に言うと、普段の話し声が高い人の方が上手く切り替えやすいです。
なぜかというと、普段の話し声が高い人の声帯は薄くて小さいので、高い声が出しやすくなります。逆に普段の話し声が低い人は声帯が大きくて厚いんです。
男性で話し声が高い人は声帯が小さいので、喉仏があまり出ていないですよね。
例えばカラオケに行った時、特に歌の勉強などをしていない女性が自然とミックスボイスを使って歌っているのを聴いた事はありませんか?
人によって差はありますが、ミックスボイスを自然に使って歌うことができる人が、男性に比べたら女性は遥かに多いと思います。
なぜ女性の方がミックスボイスを普通に出せる人が多いのかと言うと、先ほど説明した声帯の大きさや厚みに関係してくるのですが、女性の声帯は薄くて小さいです。なのでチェストボイス・ミドルボイス・ヘッドボイスの声質の差が少なく、自分でも無意識にミックスボイスを出せているんです。
声帯が小さくて薄いと、地声と裏声の声質の差が少なくなります。なので女性や地声が高い男性は、地声と裏声を切り替えても違和感が無くなりやすい傾向にあります。
さらには、話し声がほとんどミックスボイスやヘッドボイスになっているという女性も結構います。注意して話し声を聞いていると、あれ?この人の話し声ってミックスボイスだよね?なんて人がいるはずです。無意識でミックスボイスを使って喋っている人に、”それミックスボイスだよ”と伝えると、自分がミックスボイスを使ってるなんて思ってもみなかった!という反応をします。面白いですよね。
地声と裏声を上手くミックスさせる方法
地声と裏声を上手くミックスさせる方法を簡単に言うと
お互いの声質を近づけて差を少なくすればいい
という事です。
よく、
「ファルセットに地声の成分を混ぜて」
「ファルセットに地声の響きを混ぜて」
などと表現をする方がいますが、それはこの事なんですね。
ミックスボイスの声質を地声に近づけます。
ですが、ミックスボイスの方だけを地声に近づけいってもなかなか綺麗なミックスボイスにはたどり着けません。だからお互いを少し歩み寄せて近づけていくんです。
意識の作り方としては、チェストボイスは響きのポイントを上の方へ、ミックスボイスは響のポイントを下の方へ作ります。
さらにミックスさせやすい方法としては、チェストボイスを60%ぐらいの声量で出します。チェストボイスを100%の声量で出してファルセットに繋げようとすると、声帯が上手くシフトチェンジせずに裏返ってしまい、さらには声帯に負担がかかります。この、60%の声量で繋げていくバランスがとても難しいです。
そして力まず裏返らずに声が繋がる時、綺麗なミックスボイスが出てきます。
まとめ:【ボイトレ基礎】ミドルボイスとミックスボイスの違いは出し方?感覚?
ミドルボイスとミックスボイスの違いですが、
- ミドルボイス=発声区域の呼び方
- ミックスボイス=裏声を地声のように太く強く発声するテクニック
になります。
自分の理想のミックスボイスが出せて、上手く切り替えができるよう、是非色々な人の声を聞いて研究してみてください。
実際の練習方法も紹介していますので、そちらも是非読んでみてくださいね。
ミックスボイス練習方法の記事
最後までお読みいただき、ありがとうございました。