歌が上手になってくると、どんどん歌を歌うことが楽しくなってきます。
そして、カラオケなどで人前で歌うことも楽しくなってきます。
歌えば「上手いね〜!」と褒められて気持ちいいからです。
ですが、そんな上達してきた頃に陥りやすい注意点があります。
それが、
「テクニックばかりで気持ちがこもってない歌になってしまう」
という事です。
ちょっと詳しくお話ししていきますね。
テクニック重視は逆につまらない
一番大事なのは歌詞を伝える事
難しいテクニックを使わなくても聴く人を感動させられる歌を歌う人はたくさんいます。
ですが、難しいテクニックを使っていない人の歌を、難しいテクニックを使っていないから聴いていてつまらない、と感じてしまったことはありませんか?
そしてその時の自分は、歌が上達していて今までできなかったテクニックを歌の中で使えるようになって歌うことがとても楽しい状態にあるのではないかと思います。
例えば
- ビブラートができるようになった時、やたらとビブラートをかけたくなった経験はありませんか?
- ミドルボイス(ミックスボイス)が出せるようになった時、やたらと高いキーの曲ばかり歌いたくなったりしませんでしたか?
そして、テクニックを身につけていくとどんどんテクニックばかりを気にしてしまい、肝心の「歌詞を伝える」「感情を表現する」という事を忘れがちになってしまいます。
テクニックの練習ももちろん重要ですので、それはそれでとても大事な事なのですが、歌詞がある歌である以上、一番大事なのは歌詞を伝える事だと僕は思います。
そのためのテクニックですので、そこだけは常に忘れないでいただきたいです。
歌声の聴き方
そして、他人の歌を聴く時も同じようにテクニックばかりを重視して聴いてしまい、テクニック的に上手な人の歌しか聴きたくない、なんて事にもなりかねません。
例えば
- 音を外す=下手
- ミドルボイス(ミックスボイス)を使っていない=簡単な歌
というように感じてしまうこともあります。
ですが、ライブで感情のこもった説得力のある歌声で歌っている歌手が多少音をハズしても、それさえかっこよく聴こえてしまうことがあります。
そんな時に「あ、音外した、下手だな〜」と感じてしまう。
地声だけで歌う素晴らしいシンガーの歌声を聴いて「この人は地声しか使えないんだ、つまんないな〜」と感じてしまう。
そんな方は要注意です。
歌声をテクニックだけでしか判断できなくなってしまいます。
そうなるとカラオケの採点機能と同じですよね?
カラオケの採点機能は基本がピッチの正確さです。
(カラオケの機種によっては、しゃくりやビブラートが加点評価されますが、あの採点基準は本当に意味がわかりません、、、)
そんなカラオケの採点機能では、表現力や説得力は採点できません。
(そのうちAIで採点できるようになるかもしれませんが、、)
でも、歌を届けたい相手は人間であるハズです。
なので、やっぱり表現力というのがとても重要になってきます。
テクニックは同じように努力した人にしか伝わらない?
もちろん、凄いテクニックで人を感動させるシンガーもいますが、それでは数曲で飽きてしまいますよね。そして難しいテクニックの凄さが伝わる相手は、同じシンガーか歌に関係する仕事をしている人がほとんどです。
「高い声が出る」や「ロングトーンが続く」のようなわかりやすいテクニック以外は通常の人には凄さが伝わりづらいんです。
どんな物事でもそうですが、実際に自分がある程度努力してやってみると、どれだけ凄いのかがわかります。ちょっとかじったぐらいでは本当の凄さはわかりません。
歌も同じように、歌が上手くなりたいと努力したことがある人ほど上手な人の歌唱テクニックの凄さがわかります。
僕の生徒さんも、やっぱり自分が練習して上達していくほど、上手なシンガーの凄さが分かるようになった、と言います。
もちろん僕もそうでした。
というR&Bシンガーがいますが、初めて聴いた時は「あまり迫力も無くて、面白くないな〜」という印象で、凄いともなんとも思いませんでした。
ですが今では「物凄いテクニックを持っていてとてつもなく歌が上手な人。この人の真似はできない、、」と思っています。
EXILE ATSUSHIさんと一緒に「最後の雨」を歌っている映像がありますので、よかったら聴いてみてください。
ピッチの安定感はもちろんのこと、細かくてお洒落な音階を行き来するメリスマの凄さや、太くて美しいミドルボイス凄さ、こちらを読んでくださっている方には分かると思いますが、普通の方にはこの凄さは分かりにくいものなんです。
メリスマの練習方法についてはこちらの記事で説明しています。
EXILE ATSUSHIさんのファンの方々は耳が声た方が多いと思いますので、Aメロ最後のメリスマの部分で歓声が上がっていますね(^^)
こんな素晴らしくてテクニック満載の歌声を聴いてしまうと、またテクニックばかり重視してしまいそうですが、あくまで感情を表現することが大事という事を、どうぞお忘れなく。
まとめ:歌が上手くなってくると陥りやすい注意点
という事で今回は歌が上手くなってくると陥りやすい注意点をお伝えしました。
やっぱりテクニックだけの歌声はどうしてもつまらないんですよね。
第一線で活躍しているテクニックの凄いシンガーの歌声は、やっぱり感情表現も素晴らしく説得力があります。
言い方は悪いですが、テクニックだけの人はあまり知名度がありません。やはり一般のリスナー(歌を本気で努力して練習したことが無い方々)には高度なテクニックの凄さは伝わりづらいからだと思います。
なので、テクニック重視になってしまっている方は、常に感情表現も忘れずに練習を続けてみてくださいね。