最近、僕の周りではMrs. GREEN APPLEのボーカル:大森元貴さんのように歌いたいという人が増えています。
そして今回は歌い方解説のリクエストをいただきましたので、Mrs. GREEN APPLEの「ケセラセラ」の歌い方解説をしていきたいと思います。
Contents
「ケセラセラ」歌い方、大森元貴さん(ミセス)のミックスボイスと裏声切り替えを分析
まずは「ケセラセラ」の原曲を聴いてみましょう。
歌詞
発声の違いによって歌詞を下記のように色分けしました。
- 色無し→地声
- ピンク→ミックスボイス(またはベルティングボイス)
- 緑→裏声
- 黄色→エッジボイス
- 水色→ウィスパーボイス
ミックスボイスの部分は人によって(声帯の大きさや厚みによって)地声とミックスボイスのどちらで歌った方が良いか、また、切り替えのポイントも変わってきますので、歌いやすい方で練習してみてください。
地声からミックスボイスに上手く切り替えるコツは、切り替える直前の声を絶対に力まないことです。
『ケセラセラ』歌詞(作詞・作曲:大森元貴)
ケセラセラ
今日も唱える
限界?上等。やってやろうか。
愛を捨てるほど暇じゃない いつも All right All right
ここを乗り越えたら 楽になるしかない痛み止めを飲んでも
消えない胸のズキズキが
些細な誰かの優しさで
ちょっと和らいだりするんだよな負けるな
今日も踏ん張って
固めた殻で身を守って
また諦める理由探すけどケセラセラ
今日も唱える
限界、上等。妬ましさも全部
不幸の矢が抜けない日でも All right All right
食いしばってるでもね、
今日はちょっとだけご褒美を
わかっているけれど
私を愛せるのは私だけ。
生まれ変わるなら?
「また私だね。」ひとりぼっちだと気付いても
繋がりは消えるわけじゃない
たまにがいい たまにでいい
ちゃんと大切だと思えるから貴方の幸せを分けてほしい
悲劇の図鑑
私ってそう。
仕方ない程 自分よがりバイバイ 幼き愛の日々
いいよもう 願うは「はじめから」
ベイベー 大人になんかなるもんじゃないぞ
ツァラトゥストラケセラセラ
今日も唱える
何のせい?誰のせい?
勝てなくたっていい
負けない強さを持ちたい そうさ All right All right
乗り切ってみせるケセラセラ
今日も言い聞かせる
不幸の矢が抜けない日でも All right All right
止まらないで居よう。だから、今日は
ちょっとだけご褒美を
笑える日は来るから。
私を愛せるのは私だけ。
生まれ変わるなら?
「また私だね。」バイバイ 無頓着な愛の日々
ファンファーレ 喜劇的な「つづきから」
ベイベー 大人になんかなるもんじゃないけど
ケセラセラ
バイバイ 空っぽ器にヒビ
ファンファーレ 明日も「つづきから」
ベイベー 大人になんかなるもんじゃないけど
ケセラセラ
なるようになるのさ
ケセラセラ引用元:https://j-lyric.net/artist/a05a2d6/l05c982.html
サビから始まり、下降していくロングトーンでイントロへ流れていく部分が個人的にとても好きです。
そして裏声が多用されている歌い方はまさに大森元貴さんらしい歌い方ですね。
それでは、大森元貴さんのボーカルテクニックを細かく解説していきます。
「ケセラセラ」1番の歌い方
頭サビ
ケセラセラ
今日も唱える
限界?上等。やってやろうか。
愛を捨てるほど暇じゃない いつも All right All right
ここを乗り越えたら 楽になるしかない
冒頭はサビです。
なのでキーも高くなり、裏声やミックスボイスも最初から出てきます。
ド頭の「ケセラセラ」の最高音はA4なので、ミックスボイスば出せる人は楽に出せるキーです。歌の入りはどうしても気合が入りがちで、力みがちになってしまいます。
ですので、落ち着いて力まず、音をしっかり当てていきましょう。このあとに出てくるサビは転調していてもっとキーはが高くなりますので、ここは元気よく、でも抑えめです。
そのあとに裏声も出てきます。このパートの裏声は柔らかめ(響きは前ではなく頭の上)です。
「ほど暇じゃない いつも All right All right」ここのミックスボイスは呼気が強めで声質も固くなっています。声帯をしっかり閉じて、しっかり吸った息を当て、声を遠くに飛ばすように発声しましょう。
呼気を強くするには下記の記事を参考にしてみてください。
Aメロ
痛み止めを飲んでも
消えない胸のズキズキが
些細な誰かの優しさで
ちょっと和らいだりするんだよな
Aメロは優しい地声と少し張った地声、そして裏声を使い分けています。
優しい地声はウィスパーボイスにならない程度に優しく、息漏れはあまり無い声です。
Bメロ
負けるな
今日も踏ん張って
固めた殻で身を守って
また諦める理由探すけど
BメロはAメロの延長上の歌い方ですが、Aメロよりも少しテンションは抑えめです。
「諦める」の「あ」だけウィスパーボイスですね。
それ以降は張った地声で、サビに向かって盛り上げていくようなテンションです。
サビ
ケセラセラ
今日も唱える
限界、上等。妬ましさも全部
不幸の矢が抜けない日でも All right All right
食いしばってるでもね、
今日はちょっとだけご褒美を
わかっているけれど
私を愛せるのは私だけ。
生まれ変わるなら?
「また私だね。」
1番のサビは頭サビよりもキーが全音(2度)上がっています。
ですので、「ケセラセラ」の部分の最高音はB4になります。通常の地声では出せない人が多くなる高音ですので、ミックスボイスやベルティングボイスを使って出していきます。
さらに「限界、上等。妬ましさも全部」の「さ」がD#5の高音です。裏声でも力んでしまうと喉にダメージが蓄積されて歌の後半で喉が枯れてしまいますので、気を付けましょう。
「不幸の矢が抜けない」では裏声→地声→裏声→ミックスボイス(またはベルティングボイス)と切り替えていきます。ここでは息が余計に漏れてしまわないよう、息の支えをしっかり意識して歌うことがポイントです。
息の支えについては下記の記事を参考にしてみてください。
その次の「日でも All right All right」でも息の支えを意識して、声帯をしっかり閉じ、声を遠くに飛ばすように発声しましょう。
「ケセラセラ」2番から最後の歌い方
Aメロ
ひとりぼっちだと気付いても
繋がりは消えるわけじゃない
たまにがいい たまにでいい
ちゃんと大切だと思えるから
2番のAメロは1番のAメロと同じように優しい地声と少し張った地声、そして裏声を使い分けています。
さらに、裏声でも響きの違う2種類の裏声を使っています。
「たまにがいい たまにでいい」の「ま」は1番のAメロと同じような柔らかい裏声なのに対し、
「ちゃんと大切だと思えるから」の「ちゃん」は、響きが前よりになって固めの声質になっています。ミックスボイスに近い裏声ですね。
口を閉じて、口の中は「お」と発声するときの形にして、裏声でハミングをしてみましょう。自然と響きが前よりの裏声になります。
逆に「ま」のような柔らかい裏声は、口を閉じて、口の中を「い」と発声するときの形にして、裏声でハミングをしてみると感覚が掴みやすいです。
Bメロ
貴方の幸せを分けてほしい
悲劇の図鑑
私ってそう。
仕方ない程 自分よがり
2番のBメロは1番のBメロと同じく、Aメロの延長上の歌い方です。
1番よりも裏声の部分が多くなっています。
1番と同じ部分でウィスパーボイスも使っていますので、大森さん御本人も「仕方ない程」は意識してウィスパーボイスにしているのでしょう。
Cメロ
バイバイ 幼き愛の日々
いいよもう 願うは「はじめから」
ベイベー 大人になんかなるもんじゃないぞ
ツァラトゥストラ
Cメロはこれまでとリズムが変わり、三拍子です。
三拍子に変えることによって曲の雰囲気もガラッと変わります。
歌い方としては、すこしぶっきらぼうな、怒りの感情も少しあるような歌い方ですね。
全体を呼気が強めの地声で歌っています。
ツァラトゥストラとは、哲学者ニーチェの著書「ツァラトゥストラはこう語った」に出てくる主人公で、「永劫回帰」を思想としています。Cメロ全体の歌詞がこの「永劫回帰」に絡んでいるように感じますね。考察はそれぞれあると思いますのでここでは割愛します。
サビ
ケセラセラ
今日も唱える
何のせい?誰のせい?
勝てなくたっていい
負けない強さを持ちたい そうさ All right All right
乗り切ってみせるケセラセラ
今日も言い聞かせる
不幸の矢が抜けない日でも All right All right
止まらないで居よう。だから、今日は
ちょっとだけご褒美を
笑える日は来るから。
私を愛せるのは私だけ。
生まれ変わるなら?
「また私だね。」
2番のサビは1番のサビよりもさらにキーが全音(2度)上がっています。
ですので、「ケセラセラ」の部分の最高音はC#5になります。ミックスボイスやベルティングボイスを使って出しましょう。難しい場合は裏声でも良いと思います。
さらに2回し目のサビでキーが全音(2度)上がります。
「ケセラセラ」の最高音はD#5です。大森元貴さんはD#5とD5の部分を裏声に切り替えています。
Cメロ
バイバイ 無頓着な愛の日々
ファンファーレ 喜劇的な「つづきから」
ベイベー 大人になんかなるもんじゃないけど
ケセラセラ
バイバイ 空っぽ器にヒビ
ファンファーレ 明日も「つづきから」
ベイベー 大人になんかなるもんじゃないけど
ケセラセラ
なるようになるのさ
ケセラセラ
最後のCメロは、これまで転調してきた分、最初のCメロよりも4度高くなっています。
オケは壮大な雰囲気に変わっていますので、「なるようになるのさ」といった気持ちを込めて歌いましょう。
また、大森元貴さんは言葉をリンキングさせるように歌っています。
リンキングとは、主に英語のフレーズで使われます。
簡単に言うと、単語と単語をつなげるように発声するテクニックです。
リンキングさせている部分をカッコにてくくってみました。
バイバ(イ 無)頓着な愛の日々
ファンファー(レ 喜)劇的な「つづきから」
ベイベー 大人になんかなるもんじゃないけ(ど
ケ)セラセラ
バイバ(イ 空)っ(ぽ器)にヒビ
ファンファーレ 明日も「つづきから」
ベイベー 大人になんかなるもんじゃないけ(ど
ケ)セラセラ
なるようになるのさ
ケセラセラ
カッコでくくっている部分は一つの音として捉えて発声してみましょう。
まとめ:「ケセラセラ」歌い方、大森元貴さん(ミセス)のミックスボイスと裏声切り替えを分析
Mrs. GREEN APPLEの楽曲「ケセラセラ」の大森元貴さんの歌い方を解説してきました。
今回も裏声やミックスボイス(またはベルティングボイス)を多用していますので、とても歌うのが難しい楽曲です。
ちなみに曲のタイトル「ケセラセラ」という言葉の意味は、「なるようになるさ」という意味をもつイタリア語の「lo que será, será」が起源という説が有力です。
この楽曲の音や歌い方からも、「なるようになるさ」という雰囲気を感じますよね。
また、大森元貴さんの力強い歌い方から「自分次第でなんとでもなる」という強い意志も感じました。
歌唱テクニックを磨くのももちろん大切ですが、自分なりに歌詞を解釈して表現することもとても大切です。(むしろ表現力に長けている方が聴き手の心に響きます)
大森元貴さんの歌い方解説は他にもありますので、良かったら是非ご覧ください!
歌唱テクニックについては下記の記事を合わせて読んでみてください。
余談
大森元貴さんといえば、どこまでも伸びていくような美しい裏声が特徴的ですが、作詞作曲やプロデュースもこなすマルチアーティストです。
御本人曰く、歌は完全に独学だそうです。独学でもここまで上手になれるのは、真剣に歌に取り組んだ証拠でもあります。
ボイストレーニングなどの歌のレッスンに通ってる人が陥りやすい悪いパターンとして、「ボイストレーニングに通ってるから必ず歌が上手くなるだろう」という考えになっている人がいます。
これはとても大きな間違いです。
ボイストレーニングなどのレッスンは、あくまでその人の歌声や歌い方の矯正をして良い方向に導くものです。努力したり研究するのは自分自身です。
- 自己練習
- 歌が上手な人の歌を研究
- 自分の歌声との違いを見つけ、近づける
上記を繰り返さないと、絶対に歌は上手くなりません。
ボイストレーニングなどのレッスンは、自分で歌の勉強や練習をしても、どうしても理想に近づけない場合に、答えに導くヒントをくれるものです。
ボイストレーナーが歌を上手にしてくれるわけではなく、歌を上手にするのはあくまで自分です。
努力をすればするほど壁にぶち当たってしまい、歌をやめたくなってしまう場合もあるかもしれません。
ですが、歌うことが好きなみなさんには、どうか諦めずに歌を続けていってほしいです。