今回は”がなり声”の出し方、練習方法、がなり声についての詳しい知識をご紹介します。
がなり声の出し方を歌い手さん(超学生さん・Adoさん)で解説
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がなり声の出し方を解説【ボイトレ基礎・応用編】
皆さんは”がなり声”という言葉を聞いた事はありますでしょうか?
”ボイトレ、がなり声”で検索すると、クリスティーナ・アギレラの声を例にする人が非常に多かったので、まずは分かりやすいこちらの参考動画をどうぞ。
Christina Aguilera/Fighter
[歌詞の冒頭部分]
Fighter 作詞・作曲:Christina Aguilera/Scott Storch
Well, I thought I knew you
Thinkin’ that you were true
上記はAメロの最初の歌詞ですが、ピンクの部分を歌う時のゴロゴロっとした唸るような声、これがいわゆる”がなり声”です。ビヨンセやアリアナ・グランデもよくやりますね。
この曲では所々でこの”がなり声”が出てきます。
仮声帯を閉じて息を強く出すと出る声です。もちろん、音程もコントロールできます。
”シャウト”と呼ぶ人もいますが、”シャウト”=”叫ぶ”と認識している人も多いと思いますので、ここでは”がなり声”と呼んでいきますね。
僕が体得した”がなり声”は、僕が尊敬するボイストレーナーの方のがなり声を主に聴いて研究し、実際に本人と答え合わせをさせていただきました。
それではさっそく、練習方法を説明していきます。
それにしてもクリスティーナ・アギレラの歌声はめちゃくちゃかっこいいですし上手ですね。この動画を観て改めて思いました。ちなみにデビューアルバムからのシングル「Genie in a Bottle」は観月ありささんがカバーし、ドラマの主題歌にも使われたので日本でもヒットしました。
当時は、クリスティーナ・アギレラのデビューより一年早くデビューしたブリトニー・スピアーズと何かと比較される事が多かったと思いますが、歌唱力は圧倒的にクリスティーナ・アギレラが優っているように感じます。
”がなり声”の練習方法
1 仮声帯を閉める感覚を覚える
まずは、声帯のすぐ上にある仮声帯を締める感覚を覚えていきます。
『ゴクン』とツバを飲み込んでみてください。
飲み込んだ時、喉が締まりますよね?その時閉まっているのが仮声帯です。その喉の感覚を覚えてください。
2 咳き込んで”がなり声”のような音を出す
次は低い声で咳き込みます。そうすると”がなり声”のような声が出ます。
咳き込むことによって出た息が、閉まった仮声帯をこじ開けるように出ていきます。そうすると閉まっていた仮声帯は息によって無理矢理開かされ、息が通る事によって震えて”がなり声”のような音が出るんですね。
その喉の状態を覚え、咳き込まなくても喉をその状態にできるようにします。
咳き込む時も横隔膜から息を出す感覚を絶対に忘れないようにしましょう。
舌根を下げる、もしくは喉仏を下げるとやりやすいと思います。
横隔膜から息を出す感覚についてはこちらの記事で練習方法を解説しています↓
3 咳き込んだ時の音を声に変換する
そこで、仮声帯をしっかり閉めた状態で横隔膜のポンプを使いお腹から強く息を出し、”がなり声”を出してみましょう。
低い声で「ん”!!」「あ”!!」と瞬発的に出してみてください。
出ましたか??
ここで注意したいのが、喉に力を入れてがなる場合と極力喉に力を入れないでがなる場合で、声帯へのダメージがかなり大きく変わってきます。
極力喉に力を入れずにがなる事が出来ると、歌のポイントポイントでがなってもライブに支障をきたさない程度のダメージで済みます。
極力喉に力を入れないでがなる方法としましては、
仮声帯を強く閉めようと意識せずに横隔膜のポンプを使い強く息を出す
という事です。
横隔膜のポンプの使い方はこちらの記事を参照にしてみてください↓
【ボイトレ基礎】腹式呼吸、ティッシュ・ブロウで横隔膜を鍛える!
横隔膜から強く出した息を、軽く閉めた仮声帯に当て、息を押し出す感覚です。仮声帯を強く閉めてしまうと、息が通って震えた時の摩擦力が強まり、喉に強いダメージが残ってしまいます。
まとめ:がなり声の出し方を解説【ボイトレ基礎・応用編】
上半身で”がなり声”を響かせるとものすごい声量が出ます。破壊力は抜群ですが、仮声帯を閉め過ぎなければ喉へのダメージは少ないのです。
ですが、どんなに上手に”がなり声”を出しても、必ず喉に負担はかかります。なるべく抑えるよう、要所要所で使いましょう。
・横隔膜のポンプを使い、強い息を出す
・仮声帯を強く閉めない
・どんなに上手な人でも”がなり声”を使いすぎると喉が痛む
がなり声と近い発声法であるデスボイスについてはこちらの記事で出し方と練習方法を解説していますので是非読んでみてください。
【ボイトレ応用編】デスボイス(デス声)の出し方、練習法を解説
エッジボイスと声の支えについてはこちらの記事を合わせて読んでみてください。
余談
僕が尊敬するボイストレーナーの方がバンドをやっていた頃、一曲丸々”がなり声”で歌うという恐ろしい曲をバンドのメンバーが作ってきてレコーディングをしたそうなのですが、レコーディングで2時間歌い続け、声が元の調子に戻るまで3日かかったとおっしゃっていました。
もの凄くかっこいい曲だったので、ライブでどう歌うんだろうと僕は楽しみにライブを観に行ったのですが、実際のライブではその曲を全編”がなり声”ではなく、要所要所に”がなり声”を入れて雰囲気を出していました。
流石にその方でも”全部がなり声で歌うのは無理!”とおっしゃっていました。
全曲”がなり声”でしか歌わないバンドでしたら声にダメージがあっても多少はごまかせるので良いのかもしれませんが、そのバンドは正統派ヘヴィーメタルバンドでしたので、A4〜E5あたりのクリア・ハイトーンのミドルボイスを使う曲ばかりでした。
なのでその方は”がなり声”の使用量を最小限に抑え、喉へのダメージも最小限に抑えたそうです。
さらに2020年に大ヒットした「うっせぇわ」という楽曲をとてもかっこいいがなり声で歌っているAdoさんも、
「がなり声は喉に負担をかけるから真似しないほうがいい」と、ご自身のツイッターでつぶやいていました。
Adoさんのがなり声の出し方は、仮声帯をかなり強く締めて強い息を当てて発声しているように聴こえますので、かなり喉に負担がかかるのだと思います。
超学生さん・Adoさんの歌い方も解説させていただきましたので、よかったらこちらの記事も是非読んでみてください。